なりたて支援員のブログ

障害者グループホームの支援員を始めました

新たなホームでの勤務が大変すぎる

今までのホームの勤務に加えて、同じ法人の別のホームでも勤務し始めました。

そのホームがめっちゃ大変なの。今までのホームと比べると天国と地獄。

新たなホームは1人勤務なのでその点では気楽ですが、それ以外良いところがない。

まず寝る場所がリビング。今までのホームは支援員にも部屋があるのに、新たなホームではリビングのドアを閉めて、そこで寝泊まりしないといけません。

そして一人の利用者(Aさん)が、気に入らないことがあると怒ってすぐに嘘泣きをするし、かまってほしいときも嘘泣きをして気を引こうとしてきます。

研修のときはAさんは大人しかったので、まさかこんな感じだとは…

夜中も今までのホームと違って安眠できません。自分で紙パンツのパッド交換ができない利用者Bさんがいるので、Bさんが夜中に漏らしたときは起こされてパッドを交換しないといけません。

さらに、夜中にAさんがトイレで起きたときに、Bさんの部屋のドアをドンドン叩いて騒ぐんですよね。夜中の2時や3時にうるさくされると当然こちらも目が覚めますし、Bさんにとっても迷惑ですよね…

Aさんに注意しても、Aさんは全然わかっていない様子なので、迷惑行為をやめさせることができません。

共同生活を営んでいる以上、他の利用者さんに迷惑をかける行為はやめてほしいのですが…

他にも、Aさんは一人でドアを開けられないBさんの部屋のドアを勝手に閉めたり、ホームの中の物を勝手に移動させたりします。

私が気付いてBさんの部屋のドアを開けると、Aさんがまた閉める。また私がドアを開けると、またAさんが閉める。

「Bさんはドアを開けられないから、閉めないでくださいね」と説明しても、Aさんは理解できないようで、また閉める。

「ダメ」と簡単な言葉で言っても、聞いてくれません。

他にも、Aさんはホームの中の物を勝手に移動させたり、換気扇を勝手にオフにしたりします。換気扇のスイッチがオフになっていると、利用者さんの便の後にトイレに臭いがこもるんですよね。それが地味に嫌です。

また、Aさんは入浴介助のときに、シャンプーやボディーソープを支援員の手の届かない位置に置きます。

「こっちに置いてね」「かして」などと声をかけても、Aさんは「ちがうちがう」と言うばかりです。

私の手が届かないので、Aさんが自分でシャンプーやボディーソープのポンプを押すのですが、見ていると顔を洗うときにシャンプーで洗っていました。

まあ、本人がいいならいいですけど…

一人夜勤の初日、私がホームの仕事をしようと机に向かっていると、Aさんが隣に座ってかまってほしそうにしていました。

できるだけAさんの話を聞いたり、話しかけたりしていましたが、その間にもBさんに呼ばれて支援をすることがありました。

Aさんはそれが気に入らなかったのか(?)、嘘泣きをし始め「あやまって!」と言いだしました。

とりあえず、Aさんをなだめるために「ごめんね」と謝ったり、話しかけたりしました。その間に、Aさんがいてもできる仕事をしていたら、Aさんが怒りだしてしまい「おまえきらい!」と言いながら、ドアを勢いよく閉めて自室へ去っていきました。

後から別の支援員さんに聞いたところによると、どうやら体をAさんのほうにずっと向けていないとAさんは怒ってしまうそうです。

そんなん知らんがな。

相手は知的障害者なので、腹は立たないですが、正直無理だなって思いました。ホームの仕事があるので、ずっとAさんにかまい続けるのは不可能ですし、こちらはほぼ素人なので。

今までのホームで関わっていた知的障害の利用者さんたちは、全員穏やかで、精神的にも自立しているように見えます。

Aさんのように精神的に不安定で、嘘泣きをするような利用者さんは初めてなのでびっくり。

寂しいのかな?とも思いましたが、Aさんのホームでは、支援員が利用者さんの部屋に行ってコミュニケーションをとる時間帯がスケジュールに定められているんです。

支援員は、その時間帯には利用者さんの部屋でコミュニケーションをとっているので、コミュニケーション不足で寂しいということは考えにくいんですよね。

私がもともと勤務していたホームでは、利用者さんとコミュニケーションをとる時間帯は特に定められていませんでした。生活の中で普通に利用者さんと会話はしますが、「〇時から〇時まで利用者さんとコミュニケーションをとる」みたいな決まりはないです。

それでも、そこのホームの利用者さんたちは、精神的に落ち着いています。

そこのホームと比べて、Aさんのホームは利用者さんと支援員の距離が近いのに、Aさんは何でこんなに支援員にかまってもらいたがるんでしょう。

逆に距離が近いから、いつまでたっても精神的に自立できないんですかね? それとも、親御さんの育て方の問題なんでしょうか? 障害があるからといって甘やかして、わがままを全部聞いてあげていたのかもしれません。

知的障害があって精神年齢が幼いので、周りの人に依存してしまうのかもしれませんが、グループホームは自立支援の場所なので、利用者さんが精神的に自立することも大切だと思います。

BさんはBさんで、仮病を使って「救急車呼んで!」と騒ぐし。すぐに別のユニットの支援員に報告しましたが、Bさんはただ支援員の気を引きたかっただけのようです。

もう1日目にしてうんざりしてしまいました。

障害者グループホームの面接

障害者グループホームの面接を受けてみました。

障害者グループホームは、平日の日中は利用者さんたちが作業所へ通うため、平日は夜勤や宿直のみの募集のところがほとんどでした。

夜勤の条件

障害者グループホームの夜勤は16:00~翌9:00が基本で、ホームによって多少前後します。

拘束17時間ですが、介護施設と違って休憩時間が長いので、ずっと働いているわけではありません。施設によっては6~8時間の睡眠をとることも可能です。※その場合は、夜勤ではなく宿直となるそうです。

私の地域では1夜勤15,000~16,000円が相場です。

介護施設の夜勤と比べるとかなり安いですが、介護施設は休憩がせいぜい1~2時間で、休憩中もナースコール対応があるので、ほとんど眠れないようです。

介護施設の夜勤と比べると、肉体的にはかなり楽だと言えるでしょう。

とりあえず、条件の一致した2つのホームの面接に行きました。

グループホームA

こちらは株式会社の経営しているグループホーム

企業HPを見ると、もともとは他の事業を経営していて、最近グループホームのビジネスに参入してきたようです。

担当者は、独特な雰囲気のやさぐれた感じの男性経営者と、おばさま。

やさぐれた経営者:(業務の説明)何か質問はありますか?

私:支援員のタイムスケジュールについて伺いたいんですが、起床時間は何時でしょうか?

おばさま:起床時間という言い方は…あくまで福祉施設である以上、私たちは利用者のみなさんの見守りをしないといけないので、基本的には寝てはいけないんです。たとえ休憩時間でも、起きているのが基本です。

私:(あ、無理…)

おばさま:休憩時間に少し仮眠をとる程度ならかまいませんが、本格的には眠れないんですよ。

やさぐれた経営者:まあ朝食は7:00なので、準備に間に合うように起きてくれれば、仮眠をとっていただいても大丈夫です。

私:(え、フォロー?)

やさぐれた経営者:で、どうします? 条件的に問題がなければ来てほしいですが。

おばさまが少し面倒くさそう…基本的に寝てはいけないとのことなので、おそらく支援員が寝る環境は整っていないでしょう。

リビングのソファで仮眠するとか、そんな感じなのかなと思いました。

とりあえず、断ったら怒られそうだったので、その気もないのに「検討してみます」と答えてしまいました。

グループホームB

こちらは社会福祉法人が経営しているグループホーム

市内にグループホームを多数所持しているとのことですが、募集要項にはグループホームの住所は載っていませんでした。

事務所に面接に行くと、担当者は優しそうな女性。

グループホームの住所を聞いてみると、私にお願いしたいホームは、電車とバスを乗り継ぐ必要があるとのこと。

う~ん、ちょっと遠いんですよね…パートなので自転車で行ける距離か、電車で乗り換えなしの場所を探していたのですが…

優しそうな女性:うちはパートでも賞与が出るんですよ。

私:そうなんですか!(でも遠いし…悩む…)

優しそうな女性:それに、布団の用意もあるので、休憩時間は仮眠を取っていただいて大丈夫です。

私:そうなんですか!

優しそうな女性:よさそうな人なので、このまま進めますね。

という感じで決定しました。

感想

障害者グループホームはどこも人手不足のようなので、初任者研修の資格を持っていたらほぼ採用されると思います(持っていなくても採用されるかもしれません)。

ただ、今回いろんなグループホームに問い合わせてみて、ホームによって条件がかなり違うと思いました。

たとえば夜間の見回りの時間にしても、最終見回りが夜の11時のところもあれば、明け方の3時のところもありました。

中には、夜間に車で他の施設へ見回りに行くところもあります。

食事の準備は、食材とレシピが毎日届くホームが多かったです。届いた食材をレシピを見ながら調理するという感じですね。レトルトの食材を湯せんにかけるだけというホームもありました。

休憩時間や仮眠時間もホームによって異なりますし、パートにも賞与や寸志を支給してくれるところもあります。

びっくりしたのが、業務委託契約グループホーム。夜間支援員は業務委託契約になるそうです。

ただ、見回りの時間や食事作りの時間が細かく定められているため、実質は雇用契約です。これって、偽装請負にならないんですかね?

業務委託契約は有給も取れませんし、責任問題が発生したときに大変なことになると思うので、絶対におすすめしません。

支援員をしてみたい人は、いろんなホームを比較して決めるといいと思います。

こんな夜更けにバナナかよ~健常者はどこまで許すべき?

渡辺一史さんのノンフィクション『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』を読みました。

筋ジストロフィーの鹿野靖明さんが、自らボランティアを集め、病院ではなく自宅で生活をする道を選んだお話です。

まず、重度訪問介護という制度がなかった時代に、自分でボランティアを集めるというバイタリティがすごい。

集まるボランティアの人たちもすごい。中には有償ボランティアの人もいましたが、ほとんどの人たちは無償です。

評価が高く、映画化もされている作品ですが、私は正直「えぇ…?」と思ってしまいました。

鹿野さんのモラハラ

鹿野さんはわがままで、気に入らないことは口に出して言ってしまうので、ボランティアの人に「帰れ!」と言うことも度々あったそうです。

そう言われても、引き続きボランティアに来る人もいれば、そのまま来なくなった人もいるそうです。

私は即効で行かなくなりますよ。ええ。

鹿野さんとボランティアの人たちは、ノートでコミュニケーションを取っていたのですが、そのノートにも鹿野さんは、

「精神状態が不安定です。やつあたりされても怒らないで下さい」

「聞かれたことだけに答え、意見に反論するようなことはノイローゼの原因となるのでやめて下さい」

と強気な態度。

やつあたりされても怒るなって…モラハラですね。

さらにその上、鹿野さんはボランティアの女性の1人とお付き合いしていたのですが、その女性に対して「遅えんだよ、バーカ!」「さっさとすれ! このやろう」と暴言を吐くことがありました。

その女性のいれたお茶を「まずーい!」と吐き出すこともあったそうです。

無理です。

なんか、めっちゃ上から目線ですよね? 障害があるというコンプレックスの裏返しなんでしょうか?

ボランティアで接する分にはいいと思んですよ。それに耐えられる人、それでも続けたい何らかの理由がある人が続ければいいですし、無理な人はやめたらいいんですから。

でも、家族がこんなんになって、毎日のように暴言を吐かれたら、こちらの精神が持たない気がします。

そもそも、人工呼吸器をつけてまで生きるって、精神的によっぽど強くないと難しいんじゃないでしょうか。

そこまでして生きたいというバイタリティと勇気はすごいと思いますけど、自分がしんどいからといって「周りの人にモラハラをして当然」という態度はどうなんですか?

ボランティアのメンタリティ考察

無償ボランティアの人たちには、たとえが適切ではないかもしれませんが、何かしらの新興宗教に属している人と同じようなものを感じました。

何か今の自分に満足していない人、今まで漠然と人生を生きていて何か変えたいと思っている人、自分の存在意義を見つけたい人が、ボランティアを始めてみたという印象です。

そういう人たちは「帰れ!」と言われても、あっさりやめません。なぜなら、ボランティアをすることで、自分の生きる意味や自分の価値を確かめたいからです。

たとえば、学生ボランティアの内藤さんは、ボランティアを始める前は「自分に対する劣等感、コンプレックスのかたまり」だったそうです。

そんな内藤さんは、ある日、鹿野さんから「帰れ!」と言われてしまいます。

ただ、内藤さんはそれでもボランティアを続けることを選びました。

ボランティアを続けた理由について、内藤さんはこう答えています。

「(中略)自分の中で『やめる』っていう選択自体、してはいけないっていうのがあったんですよね。やめるっていうことは、昔のダメな自分に戻るっていうことだったんです」

つまり、内藤さんはボランティアをすることで、自分に対する劣等感やコンプレックスを克服し、自分の存在価値を見出すことができたのはないでしょうか?

だからこそ、ボランティアをやめることは選択肢になかったのです。やめたら、もとの自分に戻ってしまうと恐れたからです。

目的が何であれ、ボランティアをすることは尊いことではあります。

ただ、鹿野さんの場合は、このような自己実現的な目的意識を持つ無償ボランティアたちの存在があって初めて成り立つケースではないでしょうか?

すべての障害者と介護者の関係には、一般化できないと思います。

今の自分に満足している人や、自己肯定感が高い人は、無償ボランティアを続けることは難しい気がします。

健常者はどこまで許すべき?

鹿野さんも、人工呼吸器をつけての生活は辛かったでしょうし、いつ自分が死ぬかわからない恐怖もあったでしょう。

だからといって、モラハラを受け入れろという態度には、疑問に感じてしまいました。

障害があるからといって、健常者が何でも許して受け入れるのは違うと思います。そんなのは、ただの奴隷じゃないですか?

極端な例かもしれませんが、精神障害者に身内が殺されたときに「犯人は精神障害者だから仕方ない」と受け入れられる人がいますか?

障害があっても社会のルールを破ってはいけませんし、人にパワハラモラハラ・セクハラをしてもいけません。

そもそも、気管切開を選べば、自分が肉体的・精神的に苦しい思いをするのがわかりきっているじゃないですか?

気管切開せずに、そのまま亡くなることもできたはずです。鹿野さんはどちらも選べました。

自分の選択なのに自分が辛いからといって、八つ当たりされても怒らないでって…私の心が狭いのかもしれませんが、自分の選択に対して少し無責任だなと思いました。

もちろん、意に反して八つ当たりしてしまうことは健常者にもあるので、八つ当たりすること自体を批判しているわけではありません。

病気で辛いときに、八つ当たりしてしまうこと自体は仕方ないと思います。

でも、それを病気の当事者に、当たり前のことだと思わないでほしいですね。

多くの介護者は八つ当たりされても許してくれると思いますが、許すかどうかを決めるのは介護者のほうであって、病気の当事者ではありません。

近年のニュースを見ていると、障害者の一部の方は「許してくれて当たり前、何でも完璧にやってくれて当たり前、全部言うことを聞いてくれて当たり前」と感じていらっしゃるように見受けられます。

が、当たり前ではありません。

美談ではない

鹿野さんの話は、まるで美談のように取り上げられていますが、私は美談とは言えないと思いました。

なにしろ、たくさんのボランティアがやめています。中には、心が傷ついた人もいたでしょう。

鹿野さんの情緒が不安定な時期は「ボランティアのひと言ひと言に瞬間湯沸かし器のように腹を立てては、気に入らないボランティアを次々とやめさせていった」とあります。

また、鹿野さんの彼女への態度がひどかったため「それに抗議するようにボランティアをやめた人が何人もいた」と書かれています。

鹿野さんの彼女も、結局モラハラに耐えられず、ボランティアをやめてしまいました。

鹿野さんの立場からしたら美談でしょう。24時間の在宅介護が実現し、亡くなるまで生活を続けられたので、思い残すことはないと思います。

ただ、やめていった多くのボランティアたちの心情を考えると、美談で済ませてはいけないのでは? と思いました。